壮絶な児童養護施設での過去を語る

1 : 2021/07/07(水) 21:21:19.461 ID:zuiLY2+U00707
待たせたな 昼の続きを書かせてもらうぞ
前回までのを知りたい人は同じスレ名のがあるからそこで確認してくれ
3 : 2021/07/07(水) 21:22:52.379 ID:zuiLY2+U00707
確かに言うとおりだ あらすじから始める
4 : 2021/07/07(水) 21:28:24.122 ID:zuiLY2+U00707
親からの暴力が原因で、小6の頃に児童養護施設への入所が決まる。
暴力から逃れられた安心感と親との分離不安による板挟みになり、幼いながらに葛藤していた。
そんな中、施設の先輩 中3のM、中2のU、中1のRの3人組からいじめを受け始める。いじめは日に日にエスカレートしていき、ついには窒息死仕掛けるほどのリンチを受けるが、すんでのところで職員が部屋に来たことで助かる。 見回りを終え俺の部屋にやって来て事情を尋ねる職員に対し、これまで報復を恐れて相談できずにいたいじめについて話すことを決意する。
こんな感じだな
5 : 2021/07/07(水) 21:32:13.276 ID:zuiLY2+U00707
職員が俺に何があったのか聞いてくる。
正直に言えるわけが無い。なぜならこれで職員がM達を注意しようものなら、今回以上の報復が帰ってくるのは明白だからだ。
しかし、その時初めて それらの恐怖を全て薙ぎ倒す程の心からの叫びが、今回のリンチの全貌を職員に話す勇気になった。
6 : 2021/07/07(水) 21:33:36.913 ID:1FdJIaJzd0707
つづけろ
7 : 2021/07/07(水) 21:34:18.337 ID:zuiLY2+U00707
その時の俺はある意味で冷静でなかったのかもしれない。なぜならここまでの暴力を受けていたら、報復を恐れて話さない方が当然だからだ。それでも正直に話す決断が出来たことを今でも誇りに思っている。
俺は力なく、絞り出すようにリンチの全貌、これまでのいじめ、もう耐えられないことをゆっくりゆっくり、時間をかけて話した。
8 : 2021/07/07(水) 21:34:29.467 ID:S0zDf2Dr00707
見てるよ
9 : 2021/07/07(水) 21:39:23.260 ID:zuiLY2+U00707
今でこそ「リンチ」などと言えるが、俺はその時そういうふうな捉え方をしていなかった。
本当に、ずっと「洗礼」だと思っていた。自分が悪いから殴られているのだと考えていた。M達の機嫌が悪いと殴られるのは、仕方の無いことだと言う認識だった。 だから職員が俺の話を聞きながら呟いた「そんなのリンチじゃねえか…」という言葉に心底驚いた。
何を馬鹿な、とさえ思った。リンチと言えば、ニュースで紹介されてもおかしくないようなもので、相当な極悪人出なければできないもので、それが自分の周りで起きているはずなんてないと。しかし職員は酷くつらそうな面持ちで続けた。
「君は今殺されかけていたんだ。彼らがやってることは許されることじゃないし、犯罪だ。そしてそれに気づけなかった僕達大人にも非がある。」
困惑する。 俺がされていたことがリンチ?いじめではなく? 犯罪? 認識が追いつかなかった。」
10 : 2021/07/07(水) 21:47:19.179 ID:zuiLY2+U00707
職員はさらに続ける。
「この状況は当然看過できない。M達もそうだし、君の親や児童相談所にも話が行くことになる。」

俺は青ざめる それはM達に報復されることを意味するからだ。 信じられないほどに泣いた。お願いだ、M達に言うのだけは勘弁して、もう殴られたくないよ
俺は職員が守ってくれることよりも、M達の報復の確実性を信じていた。 奴らが見逃すはずがない。

そうして恐怖で泣きじゃくる俺に対して、職員はそれまで以上に真剣な面持ちで言った。
「君のことを絶対に守る。報復も絶対に許さない。今後一切M達が君に関われないようにする。これが原因で他の子に標的がうつることも絶対に防ぐ。近いうちにフロア移動がある。そこで君を彼らのいないフロアに移動させる。約束する。今日まで気づいてあげられなくてごめん。」
これほどまでに心を揺さぶられる言葉はなかった。

11 : 2021/07/07(水) 21:49:51.721 ID:zuiLY2+U00707
フロア移動とは、毎年4月にある職員と自動の移動をさす。
俺のいた施設では、本館(1、2階)、3階小規模、別館小規模(別建物)に別れており、人間関係や生活訓練の状況を考慮して組み換えがされる。
12 : 2021/07/07(水) 21:51:58.474 ID:BPABFN++00707
昼からずっと見てる
13 : 2021/07/07(水) 21:52:50.247 ID:zuiLY2+U00707
それからというもの、本当にいじめはピタリと止み、M達は俺にめを合わせることすらなかった。そんな調子で事件から1週間ほど経った頃、俺は職員室に呼び出された。
そこへ行くと、M、U、R、そして俺の担当職員、さらに母の姿があった。
14 : 2021/07/07(水) 21:59:25.341 ID:zuiLY2+U00707
母はひどく怒っていたが、辛うじて冷静さを保っていた。俺と母が横並びに座り、その反対側にM、U、Rが座る。横にいた職員が事の顛末と謝罪をする。俺は何故か涙が出る。 その後M達3人は続けて丁寧に謝罪をし、頭を下げた。 その頃には母もだいぶ落ち着いており、優しく彼らを諭した。
謝罪が終わり、Mらが部屋に戻ったあと、俺は母の胸で泣いた。声を出して泣くのは半年ぶりだった。
しかし俺を包む優しい女性もまた、暴力をふるった人間。人の心は本当に分からないもので、かつて暴力をふるった人間に対して何故こうも安心するのだろうか。もちろん当時の俺はそこまで考えていない。 俺はただ、自分が傷つけられていたことを悲しむ人がいて、それらを許さまいとする心強い味方がいるだけで 心の底から安堵し、大きな涙を零した。
15 : 2021/07/07(水) 22:02:33.247 ID:zuiLY2+U0
それからまた数ヶ月し、フロア移動の時期、俺は3階小規模への移動が決まった。
物理的にもM達との交流を遮断できることに喜んだ。俺の心は徐々に色を取り戻しつつあった。しかしヘビーな過去を抱える児童が集まる施設に、ただ安心できる空間などあるはずもないのだった。
16 : 2021/07/07(水) 22:03:35.174 ID:zuiLY2+U0
とりあえず小学生編は完だ。 一旦ひとつの区切りな
17 : 2021/07/07(水) 22:07:47.523 ID:zuiLY2+U0
4月。俺は中学生になり、フロアは3階へと変更になり、実質的な意味で転換の時期を迎えていた。

俺には施設内に同級生が2人いる。2人の呼び名はAとKとしておく。俺達には共通点があった。それは3人とも施設でいじめられていたこと。同じつらさを共有したからか、妙に仲が良く非常に気のあう仲間になっていた。

18 : 2021/07/07(水) 22:09:33.756 ID:zuiLY2+U0
成績こそ振るわなかったが、俺はAやKに加え、部活内でも友人を作り、非常に充実した生活を送っていた。
しかし、時を同じくしてひとつの問題が浮上する。
19 : 2021/07/07(水) 22:12:05.410 ID:zuiLY2+U0
3階には施設で13年以上暮らす高2のCがいた。
Cは、暴力などはしなかったが、圧倒的な威圧感で職員すら跳ね除ける、御局様的存在だった
20 : 2021/07/07(水) 22:17:44.950 ID:zuiLY2+U0
Cは俺のことが嫌いなようだった。挨拶の態度の差や、八つ当たりのはけ口として明らかな嫌がらせをしてきた。しかし職員らもCにだけは口を出せない
。そこいらの職員よりも彼女の方が施設で暮らした時間が多く、扱いにくい存在となっていた。
そのくせ大人の前でいい子ぶることに長けていたCは、絶対に職員のいる前では嫌がらせをしてこなかったし、率先して手伝いをするくらいだった。

俺はそうやって受けたストレスを発散する術を持たなかった。

21 : 2021/07/07(水) 22:21:18.075 ID:zuiLY2+U0
「虐待を受けた子供は、大人になって自分の子供に手を上げる」こんなものを見た事はないだろうか。これは本当にその通りだし、虐待に限らず様々な例に当てはめることが出来る。
実際に統計が出ているものだけ触れるが、こんな研究がある。
「過去にいじめを受けた子供は、受けていない子供に比べて、その後誰かをいじめる可能性が高い」察しのいいみんなならもう気づくだろう。俺は、弱い者をターゲットにし、いじめることでストレートを発散していた。
22 : 2021/07/07(水) 22:27:45.621 ID:zuiLY2+U0
1度いじめると、もう止まらなかった。あれほどまでに辛い思いをしておきながら、俺は最も忌むMたちの行動を模倣していた。

俺の罪は清算されなかった。誰も職員に話さなかったのだろう バレなくてよかった などとは思わない。かと言って己から言い出す勇気もないまま過ごしている。

23 : 2021/07/07(水) 22:28:25.388 ID:LTheV+Db0
見てるぞ
24 : 2021/07/07(水) 22:29:01.919 ID:zuiLY2+U0
その頃、もうひとつの事件が起きる。
俺のいた施設ではたらく心理士が逮捕された。
25 : 2021/07/07(水) 22:31:28.691 ID:zuiLY2+U0
心が強く波立ったのは、当然俺だけじゃなかった。施設に集まる子供は、みなそれなりにヘビーな過去を抱えている。俺の過去なんて他の子に比べたら深刻さは3分の1程度とさえ言える。
大人への信頼が固まりつつある頃、俺たちはまたなやまされることになったのだ。
26 : 2021/07/07(水) 22:33:18.454 ID:/msEFYud0
内容はともかく改行を覚えると読者が増えると思いました まる
28 : 2021/07/07(水) 22:35:24.791 ID:zuiLY2+U0
>>26
具体的な指摘ありがとう 意識してみる
27 : 2021/07/07(水) 22:34:43.612 ID:zuiLY2+U0
心理士の罪は、「痴漢」だった。それも学生への。

俺は悩んだ。大人への信頼が揺らぐ。
そうこうしているうちに、施設には新しい心理士が来る。呼び名はTにしておく。
この人物との出会いが、俺の人生を大きく変えることになる。

29 : 2021/07/07(水) 22:41:12.707 ID:zuiLY2+U0
俺が中3になろうかと言う頃、巷ではTへの悪評が出回っていた。
Tは前の心理士と違って児童との触れ合いが少なく、関わり辛いというものだ。 確かに、Tはここへ来てからほぼ人と喋っていない。前の心理士は逮捕されるような人間ではあったのかもしれないが、少なくとも心理士としては俺たちの信頼を集めていた。
俺はというとTを特別嫌っていた訳では無いが、いかんせん素性が全く知れないため、関わる機会を作り損なっていた。
30 : 2021/07/07(水) 22:42:47.070 ID:zuiLY2+U0
そんな時期、中学生活最後の事件が起こる。

Aが突然、俺と口を聞かなくなった。

31 : 2021/07/07(水) 22:46:40.485 ID:zuiLY2+U0
最初は酷く困惑したが、己が元来のお調子者であることを自覚していたため、何かしら意図せず気に障ることをしたのだと思っていた。
しかしAは待てども待てども何を言っても無視、目も合わせない、一緒にゲームをすることも無くなった。
そんな状況になって1ヶ月が過ぎた頃、俺は誰かにこの事を相談しようと決意する。
そこでたまたま心理室が空いているのが目に入った。何を思ったか俺は、Tに相談することを選んだ。

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