40年間成長が停滞している国で「児童の暴力」が悪化傾向。いったいなぜ…晋山…

たたく、暴れる…小学校の暴力行為7万件、「気持ちを表現できない」

　「暴れてる！」

　10月下旬、給食の時間。神奈川県の公立小の男性教諭（34）に隣のクラスの子が助けを求めてきた。

　駆けつけると、教室には給食が散乱。余った牛乳を誰がもらうかを巡って、同級生に怒った男児が自分のご飯をひっくり返して暴れたという。

　11月には下校中に友人と悪口の言い合いになった別の男児が友人を突き飛ばした。

　他にも、自分の思い通りにならず、リコーダーを机にたたきつけたり、注意されたことに逆上してハサミを向けてきたりした子がいた。1年生のある子は、かまってほしくてクラスメートをよくたたいた。

　暴力行為は「日常茶飯事」。

　共通して「気持ちを言葉で表現できていない」と感じるという。

　感想文などが苦手な子が多いとも。

　国語の教科書でも、作文など書くことを求める内容は少ないという。「気持ちを言葉にできなくて暴力になる。教員は仕事に追われて子どもの話を聞けない。もっと余裕があればいいんでしょうけど……」

https://www.asahi.com/articles/ASSCL2DNNSCLUTIL003M.html

　白梅学園大学の増田修治教授（臨床教育学）は小学生の暴力行為を「8万件を超えるのも、遠くない」と指摘する。

　増田さんが注目したのは、2019年度と20年度の加害児童数の違い。計上方法が変わったため単純比較はできないが、全体が約6.5%減った半面、1年生の加害児童は約13%増えた。全体数が減ったのはコロナ下の休校などの影響とみられる。

　増田さんは「言語力が低く、思いを整理できないと、子どもは暴力に走る傾向がある」と話し、言葉の習得水準が影響した可能性を指摘する。

　翌21年度に増田さんがある小学校で2年生の授業をすると、クラスの半数の子が、ひらがなが未習得の状態にみえたという。その学校ではコロナ下の休校中、自主学習としてひらがなのプリントを配り、「習得」とみなしていた。多くの学校が「長期休校でひらがな習得に大事な時期を逃した」とみる。

　また、学校に課される近年のカリキュラムの多さも挙げる。子どもの負担が大きく、理解できるまで教えてもらえない。教員は教材を研究する余裕がなく、子どもにじっくり考えさせる時間がとれない状況だとし、「子どもの思考力が十分に育たず、暴力を自制する力が欠けてしまいかねない」と言う。

　「ほめる子育て」の影響も挙げる。ネガティブな感情を受け止められた経験が少ない子は「いつもポジティブでいなきゃ」と思い、窮屈になり、爆発するとみる。

　一方で、学校が指導を強化すれば「規範意識に縛られた子どもたちは苦しさを覚え、暴力行為をする可能性も考えられる」と逆効果になる可能性を指摘する。

　「カリキュラムの見直しや、思考力を育てて子どもがゆっくり成長できる時間を保障することで、暴力行為は減るのでは。小学生の暴力は『苦しい』という心の叫び。大人が受け止め、現状を変えなくてはいけない」（本間ほのみ）

どっかの大学の教育学部の論文でニーチェ思想を導入すべき云々みたいなこと書かれてるのを見た記憶がある