👩「母さん、私関関同立行きたい！浪人してでも行きたい！」川ヽ´ん`)「女が浪人する意味ある？(笑)」

　迎えた受験。併願校選びで母からは「一人暮らしは絶対にダメ」と言われた。自宅から通える学校の中から、両親の勧めで「安全圏」の私大1校を決めた。

　センター試験の成績を利用して、その1校に合格した。第1志望の合格発表。オンラインで見た画面には「不合格」とあった。

　同時に開示された得点を見ると、合格ラインまで数点差だった。

　「行きたい大学で学びたい。もう1年、やりたい」

　リビングで両親に土下座し、涙ながらに頼んだ。

　だが、母にはこう言われた。

　「女の子の若い時間をムダにしちゃだめ」

　「今まで頑張ってきたんだから、もう良いじゃない」

　女性には「まだ出来ることがある」としか思えなかった。もっと解法の理解に重点を置く時間をつくっていたら。苦手科目に時間をかけていたら。

　連日、疲れるまで泣き叫んで主張した。それでも、母の姿勢は変わらなかった。

　父にも「受かっているところがあるなら行きなさい」と言われた。

　併願校は、有名大学とのインカレサークルが盛んなことで知られる大学だった。高校の女性教諭からは、笑顔で「励まし」を受けた。

　「女の子なんだから、早いところ遊んで良い人つかまえたほうがいい。逆によかった、と思わないと」

　こうした言葉を次々とかけられ、諦めざるを得なかった。入学後、新歓コンパにも出てみたが、1、2週間で足が遠のいた。「こんなんで切り替えられるわけないじゃん。私は勉強しに来たんだから」

　在学中は教職課程を取り、卒業後は決めていた通り、大学院に進んだ。ただ、何をしても、「受験をやり直したい」という思いが募った。

きょうだいで違った受験の条件

　数年後、弟が大学受験を迎えた。「体育会がかっこいい」という理由で、東京の有名私大を受験すると聞いて、女性は違和感を覚えた。

　「私は自宅から通えるところしか受けられなかった。条件が違う」

　弟は女性より高校の成績が悪かったのに、難易度が高い学校を選んでいたのも腑（ふ）に落ちなかった。

　「私は、確実に受かるところを受けなさい、と言われたのに」

　弟は、現役で受験したところは全て不合格となり、浪人生活に。家庭教師をつけて勉強していた。翌年は「浪人した甲斐（かい）のあるところに」と言って受験校のレベルを上げ、また全て不合格だった。そして、2浪目に突入した。

　「どうして弟は浪人していいの？」

　母に尋ねてみた。「合格したところがないから。仕方ないじゃない」という答えが返ってきた。

　振り返ってみると、母は弟には昔からことあるごとに、「ちゃんと稼ぐために良い大学行きなさい」と話していた。

　一方、女性には「誰かが養ってくれるから大丈夫」と言っていた。受験のときも、第1志望を告げると、「文学部に行って、何するの？」という反応だった。「勉強しなさい」と言われたことは一度もなかった。

　いつも家族での夕食後は、弟が黙って自室に引き下がるのを横目に、皿洗いは女性がしていた。文句を言っても、母は「女の子は家事ができないと困るでしょう」と言った。

　なぜ――。

　女性は考える。

　母は高卒で就職し、結婚を機に退職した。就職時には景気がよく、20代前半で海外旅行に行った話をよくしていた。

　「母からしたら、私の大学受験はそんなに大事じゃなかったのかもしれない」

　そう思うと、悔しさがわき上がった。

　高卒の両親が、大学進学に理解を示し応援してくれたことには感謝している。合格を勝ち取れなかったのも、「自分の実力不足です」。

　だが今でも、「18歳に戻って受験をやり直したい」という気持ちが消えない。（榎本瑞希）

母親わかってんじゃん

これは本人が本気じゃないから
親に説得されたくらいですぐやめる