生活保護減額「違法」判決から2週間 国の謝罪なし「当事者を愚弄」

生活保護減額「違法」判決から2週間　国の謝罪なし「当事者を愚弄」
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国による生活保護費減額を「違法」と断じた最高裁判決から2週間。利用者ら原告側が求めている国からの謝罪はなく、国は謝罪するのかどうかも明言していない。厚生労働省は、対応を検討する専門家らの会議をつくる方針を表明したが、違法な減額の影響を受けた200万人を超す利用者の被害を回復する道筋は不透明なままだ。原告から失望と怒りの声があがっている。

「違法だと（判決で）はっきりしたのに、一言の謝罪も頂けないのは信じられない。一秒でも早く（生活保護）基準を元に戻してほしい」

7日、厚労省前。神奈川県で原告となった高橋史帆さん（42）は「まずは謝罪を！」と書かれたプラカードを手に、そう訴えた。

生活保護費の引き下げから10年以上が過ぎ、原告団によれば1千人以上いた原告のうち2割を超す232人がすでに亡くなっている。利用者本人が亡くなれば、違法減額の被害は回復しようがない。高齢あるいは病を患う原告も多く、早期解決の願いは切実だ。

判決当日の6月27日、原告側は福岡資麿厚労相宛てに要請書を提出した。利用者への真摯（しんし）な謝罪▽違法減額された分の保護費をさかのぼって支給する――、といった被害回復に加え、減額の経過や原因を調査する検証委員会設置などの再発防止策も講じるよう求めた。

ただ、福岡厚労相は7月1日の会見で謝罪の意向を問われたが、「司法の最終的な判断を真摯に受け止め、判決の趣旨および内容を十分精査の上、今後の対応について検討してまいりたい」と述べるにとどめた。

原告側はこれまで、厚労省の担当者と6月30日、7月7日の2回、協議の場をもった。原告側によれば国側から謝罪はなく、これから謝罪するのかどうかも明言しなかった。「判決を精査して適切に対応する」などと繰り返すだけだったという。

障害のある人たちに不妊手術を強いた旧優生保護法（1948〜96年、旧法）を違憲と断じた最高裁判決（24年7月3日）後の対応と比べると、違いが際立つ。