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住吉会トップら6億円超支払う　詐欺被害上回る和解金

指定暴力団住吉会のトップらが、傘下の組員が関わった特殊詐欺の被害者らに対し、被害額を約3500万円上回る計約6億5200万円を和解金として支払った。被害者らが暴力団対策法の「代表者責任」に基づき同会トップらに損害賠償を求めた東京高裁での訴訟で、18日付で和解が成立した。

　暴力団側と被害者の和解は初めてとみられる。原告側代理人は和解の意義について①早く確実に被害救済できる②暴力団の資金源に打撃を与える③特殊詐欺の抑止につながる――と評価指摘している。

　訴訟は2016～17年に提起された。一審・東京地裁判決は、組員らが他のメンバーを従わせたのは、暴対法が定める「暴力団の威力を利用した資金を得る行為」にあたると判断。住吉会側に計約6億3千万円の支払いを命じた。暴力団側と被害者の双方が控訴していた。

　稲川会や山口組のトップに対しても、被害者らが賠償を求めて訴訟を起こしている。

「訴えるぞ」　何度も脅され…特殊被害の手口
　「詐欺を見抜けなかった自責の念から一生逃れられない。生き地獄です」

　原告の一人で、2千万円をだまし取られた女性（70）が取材に心情を明かした。

　「あなたの名義を貸してほしい。大手の会社に勤めているからだますわけがない。助けて」。金融関連会社の社員を名乗る男から、電話でそう懇願されたのは2014年のことだ。疑いつつも応じてしまった。数日後、別の男から「名義貸しは犯罪だ。訴えるぞ。やめてほしければ9800万円を払え」と何度も脅された。

　家を売っても払えない大金に怖くなり、自分と夫の口座にある手持ちの現金をかき集めて送金した。その後、男たちとは連絡がつかなくなった。

　老後のためにと貯金していたお金を奪われ、現在は月約10万円の年金だけで暮らす。食費を切り詰め、季節の果物や洋服も買えない。

「私がだまされなければ…」　被害女性、自責の日々　
　昨年5月には、目や足が不自由な夫が入浴中に溺れて救急車を呼ぶ出来事があった。「夫に介護も受けさせてあげられない。私がだまされなければ……」。夫や子どもには、今も詐欺被害を打ち明けられていない。自分を責める日々だ。

　暴力団トップを提訴すれば命を狙われたり脅されたりする、との不安もあった。だが「他人の親切心を利用した詐欺は生活を壊す。他の人に同じ思いをしてほしくない」と訴訟に加わった。

　今回の和解で被害金は戻ってくるが、女性は「脅した男のふてぶてしい声が頭から離れないままです」と話した。

自分で作るで結論出ただろ